コンセプチュアル・アート
作品の中心が「物」から「考え」へ移ります。1965年、コスースは椅子を一脚と、その写真と、辞書の「椅子」の項目を並べて置きました。どれが作品なのか——そう考えさせることが作品でした。1967年にはソル・ルウィットが「アイデアが、作品をつくる機械になる」と書いています。デュシャンが半世紀前に投げた問いを、世代をまたいで受け取った運動です(デュシャンを起点とすることは、ほぼ一致した見方になっています)。回帰の線は、過去だけでなく問いにも遡れることを教えてくれます。ソル・ルウィットの仕事は、その「考えが作品」をいちばん徹底しました。彼の壁画は、壁に描かれた絵のほうが本体ではありません。本体は、タイプで打たれた指示書と、本人が署名した証明書だけです。展示のたびに別の人がその指示を読んで壁に描き、会期が終われば塗りつぶされ、次の場所でまた描かれる。最初の一枚をのぞいて、ルウィット自身は描いていません。彼はこの指示書を楽譜にたとえました。演奏されるたびに新しく鳴る、あの形です。作品が物ではなく指示になる——この考え方は、美術館の外にずいぶん広く出ていきました。料理のレシピも、ソフトウェアのコードも、いま誰かが打ち込んでいるプロンプトも、同じ形をしています。書いた人が手を動かさなくても、読んだ人のところで立ち上がる。1967年に美術がやったことが、いまはほとんどの人の毎日に入っています。