ガンダーラ
仏教は長いあいだ、仏陀を人の姿で表しませんでした。法輪や菩提樹、足跡で、そこにいることを示したのです。人のかたちの仏像が現れるのは1世紀ごろ。場所はガンダーラ(いまのパキスタン北部)と、マトゥラー(北インド)。おもしろいのは、この二か所でほぼ同時に、それぞれ別々に生まれたらしいことです。どちらが先かは、いまも決まっていません。ガンダーラの仏像には、ギリシャ彫刻に似た衣のひだや面立ちが見られます。アレクサンドロス大王がこの地に来たのは前327年ごろ。仏像が生まれるまで、そこから約400年かかっています。だから「ギリシャが仏像をつくった」と言うと雑になります。ギリシャからローマへ続く造形の言葉が、この土地に何百年も沈殿して、あるとき仏教のかたちと結びついた——そう書くほうが正確で、そして僕にはずっと面白く思えます。この地図のいちばん上で、西と東はもう握手していました。